AIエージェント・AI社員

ChatGPTでAIエージェントを作る方法|GPTs活用ガイド

ChatGPTでAIエージェントを作る方法を、GPTs(カスタムGPT)の作成手順で解説。Instructions設計・Knowledge登録・Actions連携・公開範囲の設定から、費用とできないことまで、実務のつまずき所も整理します。

公開 2026.07.27
読了 約25
ChatGPTでAIエージェントを作る方法|GPTs活用ガイド

この手順が効くのは、「ChatGPTを既に契約していて(またはこれから契約する予定で)、追加の開発費用をかけずに、自社の定型業務を任せる専用アシスタントを作りたい」場合です。使うのはChatGPTの標準機能 GPTs(カスタムGPT) だけ。エンジニアによるAPI実装や、Dify等の外部ノーコードプラットフォームでの構築は本記事の範囲外です。プログラミング経験は要りません。

先に1つだけ、言葉の整理をさせてください。「AIエージェントの作り方」を調べてGPTsにたどり着いた方が最初に混乱するのがここです。GPTsで作れるのは正確には「カスタムGPT」=自社専用にカスタマイズしたChatGPTであり、複数のステップを自律的に判断して実行する本格的な「自律型AIエージェント」とは別物です。この区別を曖昧にしたまま作り始めると、「思っていたことができない」という失望につながります。逆にいえば、定型の1タスクを任せる範囲なら、GPTsは最短ルートです。ChatGPTのAIエージェント全体像(エージェントモード・GPTs・API連携の3ルート)は別記事で整理しているので、まだ範囲を決めかねている方はそちらが先です。

手順の全体像(1行): GPT Builderで作成を開始 → 指示(Instructions)を書く → 参照資料(Knowledge)を登録 → 必要なら外部連携(Actions)を設定 → 公開範囲を決めて共有。契約さえあれば着手から公開まで最短15〜30分、ただし社内で使い物になる精度まで育てるには、テストと指示の調整を何周か繰り返す必要があります。難所は「Instructionsの書き方」と「Knowledgeに入れる資料の整え方」の2つで、本文のつまずき所で詳しく扱います。

執筆: PolarisX 編集部(AI活用の実務者チーム)— AI社員「Polaris AI」の開発と、自社AI社員組織の運用に携わるメンバーが執筆しています。

ChatGPTで作れる「AIエージェント」の範囲 — この手順が向く場面

ChatGPTでAIエージェントを作る最も手軽な方法は、標準機能のGPTs(カスタムGPT)を使うことです。GPTsとは、役割・口調・守るべきルール(Instructions)と参照資料(Knowledge)を設定して、自社専用のアシスタントをノーコードで作る仕組みで、作成にはPlus以上の有料プランが必要です。ただしGPTsで作れるのは「決まった1つのタスクを高い品質でこなすカスタムGPT」であり、複数の業務システムを横断しながら自律的に多段階の処理を進める自律型AIエージェントではありません。問い合わせの一次回答、議事録の整形、資料の下書きといった定型タスクならGPTsで十分に実用になります。まず自分が作りたいものがこの範囲に収まるかを確認してから、手順に進んでください。

左に「カスタムGPT=定型の単一タスクを高品質にこなす」、右に「自律型AIエージェント=複数ステップの自律判断・外部システム連携」を並べ、GPTsで作れるのは左側であることを示す対比図

GPTs(カスタムGPT)と自律型AIエージェントは同じではない

多くの解説記事が「ChatGPTでAIエージェントを作る」と銘打ってGPTsの手順を紹介していますが、両者の間には明確な線があります。カスタムGPTは、下書き作成・要約・分類・形式変換のような1タスク完結型の仕事に強い一方、複数ステップの業務フローを自律的に判断しながら実行する用途には向かない、と複数の解説記事で一致して整理されています。自律型AIエージェントは、目的を渡すと自分でタスクを分解し、外部システムと連携しながら順に実行します。ChatGPTにも「エージェントモード」というその方向の機能がありますが、それはGPTsとは別の機能です。本記事の手順で手に入るのは前者、つまり「特定の仕事専用に調整された、あなたの会社のためのChatGPT」だと理解しておくと、期待値がずれません。

この手順が向いている業務・向いていない業務

向いているのは、入力と出力の形が毎回だいたい同じ業務です。具体的には、よくある質問への一次回答(社内ヘルプデスクの下書き)、議事録やメールの決まった書式への整形、自社のトーンに沿った文章の下書き、問い合わせ内容の分類などが典型です。共通点は「1回の依頼で1つの成果物が返る」こと。逆に向いていないのは、顧客管理システムを見て在庫システムを更新し結果をチャットで通知する、といった複数システムを横断する多段階処理や、状況次第で手順自体が変わる判断業務です。後者を無理にGPTsで組もうとすると、後述するActionsを多段に重ねることになり、ノーコードの手軽さという利点が消えます。その場合は、複数のAIが役割分担する構成(マルチエージェント)や専用プラットフォームの検討が近道です。

▶ 関連記事: ChatGPTのAIエージェントとは?違い・使い方・料金を解説

準備するもの — 契約プラン・任せる業務の絞り込み・参照資料

GPTsでAIエージェント(カスタムGPT)を作るために必要なものは3つです。第一に、ChatGPT Plus以上の有料プランの契約(無料プランでは作成できません)。第二に、任せる業務の決定。「何でもできる社内アシスタント」ではなく、1つのタスクに絞るほど精度が上がります。第三に、参照させる社内資料(FAQ・マニュアル・過去の成果物サンプルなど)。この3つが揃っていれば、作成作業そのものは30分程度で終わります。逆に、業務が絞れていない・資料が散らかっている状態で作り始めると、何度作り直しても回答がぶれる原因になります。ツールの操作より、この準備の質が仕上がりを決めます。

着手前に揃えるものを4枚のカードで示したチェックリスト図。契約プラン(Plus以上)・任せる業務1つ・参照資料の棚卸し・共有範囲の方針、の4項目

ChatGPT Plus以上の契約が前提(無料プランは「利用」のみ)

GPTsの"作成"には、Plus以上の有料プランが必要です。執筆時点(2026年7月)で、ChatGPTのプランは無料のFree、低価格のGo、標準のPlus(月額20ドル前後)、上位のPro、法人向けのBusiness/Enterpriseに分かれます。無料プランでできるのは、GPTストアで公開されているGPTsを回数制限つきで"使う"ところまでで、自分で作ることはできません。つまり「まず誰かの作ったGPTsを無料で試し、自作したくなったらPlusを契約する」という順番が可能です。料金の具体額や各プランの対応範囲は改定・為替で変わるため、契約前に必ず公式の料金ページで最新を確認してください。チームで使う場合は、後述する共有範囲の都合上、法人向けプランのワークスペース共有が選択肢に入ります。

任せる業務を1つに絞り、参照資料を棚卸しする

契約の次にやるべきは、ツールを開くことではなく紙の上の整理です。まず「このGPTに任せる仕事」を1文で書けるまで絞り込みます。「営業事務を手伝う」では広すぎます。「受注メールから必要項目を抜き出して、所定の表形式に整形する」のように、入力と出力を具体的に言い切れる粒度まで落とすのが目安です。次に、その仕事のお手本になる資料を集めます。よくある質問と模範回答、書式のテンプレート、過去の良い成果物サンプルなどです。このとき、古い版と新しい版が混ざった資料をそのまま入れないこと。矛盾する情報が混在すると、GPTはどちらを信じるべきか判断できず、回答が安定しません。資料の重複・矛盾を除き、最新版だけに揃えてから次の手順へ進みます。

作成手順 — GPT Builder起動からInstructions設計・Knowledge登録まで

GPTsの作成手順は、(1) ChatGPTのサイドバーから「GPT」(GPTを探す)を開き「+作成する」を選ぶ、(2) GPT Builderとの対話またはConfigure(構成)タブで、名前・説明・指示(Instructions)を設定する、(3) Knowledgeに参照資料をアップロードする、の3段階です。所要時間は操作だけなら15分程度。品質を左右するのは操作の速さではなく、Instructionsに「役割・制約・出力形式」をどれだけ具体的に書けるかと、Knowledgeに入れる資料をどれだけ整えられるかの2点です。UIの名称や配置は更新されることがあるため、画面が説明と異なる場合はOpenAI公式ヘルプで最新の手順を確認してください。

GPT Builder起動→Instructions設計→Knowledge登録の3段階を示すステップフロー図。各ステップに「対話形式でたたき台を作る」「役割・制約・出力形式を具体的に書く」「資料を整形してから入れる」の要点を添える

手順1. GPT Builderで対話形式から作成を始める

ChatGPTにログインし、サイドバーの「GPT」(GPTを探す)から「+作成する」を選ぶと、作成画面が開きます。画面には対話形式で作るCreate(作成)タブと、項目を直接編集するConfigure(構成)タブがあります。初めてなら、まずCreateタブでGPT Builderに「受注メールから項目を抜き出して表に整形するアシスタントを作りたい」のように目的を伝えてください。対話に答えていくだけで、名前・アイコン・指示文のたたき台が自動で組み上がります。ここで完成させようとしなくて大丈夫です。GPT Builderが作る指示文はあくまで下書きで、そのままでは粒度が粗いことがほとんど。たたき台ができたらConfigureタブに移り、次の手順で中身を自分の言葉に書き換えます。画面右側にはプレビューがあり、設定を変えるたびにその場で試せます。

手順2. Configure(構成)タブで指示(Instructions)を書く

Configureタブの中核がInstructions(指示)欄です。ここに書いた内容が、このGPTの「業務マニュアル」として毎回の回答に適用されます。書くべきは3点。役割(あなたは自社ECの問い合わせ一次回答の担当者です)、制約(在庫や返金の確約はしない・わからない場合は「担当者に確認します」と返す・Knowledgeにない情報で回答しない)、出力形式(宛名→回答→締めの3段落、敬体、300字以内)です。

ここが最初のつまずき所です。指示が曖昧なままだと出力が依頼のたびにぶれ、「AIは使えない」という結論に飛びつきがちですが、私たちの経験では、その大半はモデルの能力ではなく指示文の粒度の問題です。うまく書けないときは、1タスク1GPTsの原則に立ち返り、対象業務をさらに絞ってください。「〜を手伝う」という動詞を「〜を、この形式で出力する」に言い換えられたら、指示文として合格ラインです。

手順3. Knowledgeに参照資料をアップロードする

Configureタブを下にスクロールすると、Knowledge(知識・参照ファイル)のアップロード欄があります。ここに登録したファイルを、GPTは回答時の参照資料として使います。FAQ集、業務マニュアル、書式テンプレート、用語集などを入れると、一般論ではなく「自社の答え」を返すようになります。アップロードできるファイル数には上限があるため、何でも入れるのではなく、手順2で絞ったタスクに直結する資料だけを選びます。

つまずき所は資料の「構造」です。レイアウト重視で作られた複雑な表組みのPDFや、質問と回答が離れたページに散らばった資料は、参照精度が落ちます。現場でよく効くのは、「1つの質問と1つの答えが対になったテキスト」に整形し直してから入れることです。手間はかかりますが、この整形の質がそのまま回答の質になります。なお、社外秘の資料を入れる場合は、後述する公開範囲を必ず「自分のみ」または組織内に留めてください。

応用手順 — 外部連携(Actions)と公開範囲の設定

基本のGPTができたら、応用として2つの設定があります。1つはActions(アクション)=GPTを外部のAPIに接続する仕組みで、スプレッドシートへの書き込みや外部サービスの呼び出しなど、「調べて答える」を超えた動きを足せます。OpenAIの公式定義では、Actionsは認証方式とAPIスキーマ(OpenAPI形式)の2要素で構成されます。もう1つは公開範囲の設定で、「自分のみ」「リンクを受け取った人」「GPTストアで一般公開」から選びます。どちらも必須ではありません。まずは連携なし・自分のみで動かして精度を確かめ、必要になってから足すのが安全な順序です。

GPTsの公開範囲3種(自分のみ/リンクを受け取った人/GPTストアで一般公開)を「誰が使えるか」「必要な設定」「向く用途」の3項目で並べた比較表の図

Actionsで外部API・連携ツールとつなぐ(任意)

Actionsは、GPTが外部のAPIを呼び出せるようにする仕組みです。OpenAI公式ヘルプ実装の始め方はこちら)の定義では、設定は「認証方式(認証なし・APIキー・OAuth)」と「APIスキーマ(OpenAPI形式でエンドポイントを記述)」の2要素からなります。これを使うと、たとえば回答結果を外部の表計算サービスに記録する、Zapier等の連携ツール経由で他のアプリを動かす、といった構成が組めます。

ただしここは正直に言って、ノーコードと呼ぶには技術寄りの領域です。最初のハードルは認証設定とスキーマ定義で、APIという言葉に馴染みがない場合は連携ツール(Zapier等)のテンプレートから入るのが現実的です。私たちの推奨は、まず連携なしで運用を回し、「手作業で転記している」工程が明確になってからActionsを足すこと。連携ありきで作り始めると、認証エラーの切り分けに時間を取られ、肝心の回答品質の調整が後回しになりがちです。

公開範囲を選ぶ — 自分のみ・リンク共有・GPTストア

作ったGPTsは、保存時に公開範囲を選べます(OpenAI公式ヘルプ「GPTの共有と公開」)。選択肢は「自分のみ」「リンクを受け取った人」「GPTストア(一般公開)」の3つで、ストアへの一般公開にはビルダープロフィールの設定(名前の確認など)が必要です。法人向けプランでは、ワークスペース内のメンバーだけに共有する選択肢もあります。

つまずき所は共有の気軽さです。「リンクを受け取った人」は、URLを知っていれば誰でもアクセスできる設定であり、社内限定のつもりで発行したリンクが転送されれば社外の人も使えます。また、公開したGPTの名前・説明文は利用者に見える前提で書く必要があります。判断の目安はシンプルで、社外秘のKnowledgeを含むGPTsは「自分のみ」か組織内共有に留める、共有リンクは「転送されても困らない内容か」を基準に発行する、の2つです。

できたかどうかの判定法 — テストと改善のサイクル

GPTsが「できた」と言えるかは、作成画面を保存できたかではなく、実際の依頼文でテストして狙いどおりの出力が安定して返るかで判定します。手順は、(1) 想定される典型的な依頼を5〜10件用意する、(2) わざと曖昧な聞き方・想定外の聞き方を混ぜる、(3) 出力を「役割・制約・出力形式」の3点に照らして採点する、の3つです。全問正解を目指す必要はありませんが、同じ種類の誤りを繰り返す場合は、モデルの限界ではなく指示(Instructions)か参照資料(Knowledge)側に原因があります。作って終わりにせず、運用しながら指示を書き足すサイクルまで含めて「作り方」だと捉えてください。

曖昧な指示のBefore(依頼のたびに出力形式がぶれる)と、役割・制約・出力形式を具体化したAfter(安定した出力が返る)を並べたビフォーアフター比較図

想定質問と実際の依頼文でテストする

テストのコツは、作った本人以外の聞き方を再現することです。作成者は無意識に「GPTが答えやすい聞き方」をしてしまうため、本人のテストだけでは精度を過大評価します。可能なら同僚に数件、普段の言葉のまま依頼してもらってください。チェック観点は3つ。正確性(Knowledgeにない情報を創作していないか)、一貫性(同じ依頼に同じ形式で返すか)、制約の遵守(してはいけないと指示した回答をしていないか)です。誤答を見つけたら、その依頼文と期待する答えをセットで記録し、Instructionsに制約を1行足すか、Knowledgeの該当箇所を書き直します。1回の修正で1論点だけ直すと、どの変更が効いたか追跡できます。

現場でよく見るつまずきと見極め

私たちPolarisXは、司令塔AI社員「Polaris AI」を開発しながら、自社でもAI社員組織(3部門・約20のAIエージェント)を運用しています。GPTsのInstructionsも、私たちが日々書いているAIエージェントへの指示文も、本質は同じ「判断基準を言語化する」作業です。その現場で繰り返し見るのが、「指示文を書いた直後は動くように見えるのに、少し違う聞き方をされた途端に破綻する」パターンです。原因はほぼ共通していて、指示文が「想定問答の暗記」になっており、判断の基準(何を優先し、何を断るか)が書かれていないことです。

見極めの基準も共有しておきます。毎回同じ種類の質問に誤答する、あるいは想定外の聞き方に弱いなら、それはモデルの限界ではなく、指示・ナレッジの設計不足のサインです。逆に、資料を整え指示を具体化しても、複数システムをまたぐ処理や状況依存の判断で失敗し続けるなら、それはGPTsという道具の守備範囲を超えた合図で、次章の「次の一歩」を検討するタイミングです。この切り分けを持っておくと、「調整すれば直るもの」に見切りをつけて乗り換えてしまう失敗と、「道具の限界」を調整で乗り越えようとして消耗する失敗の、両方を避けられます。

費用・限界と次の一歩

GPTsでAIエージェントを作る費用は、追加開発費ゼロ・ChatGPTの有料プラン料金のみです(執筆時点でPlusは月額20ドル前後。最新は公式料金ページで確認)。一方で、GPTsには構造的な限界があります。大量の社内データを横断参照する本格的な社内ナレッジ検索(RAG)とは別物であること、複数ステップの業務フローを自律実行する用途には向かないこと、の2つです。この限界に達したら、Dify等の専用プラットフォームでの自作や、複数のAI社員が連携する司令塔設計へ進む段階です。「GPTsで小さく始めて、足りなくなったら次へ」が、費用対効果の面でも最も合理的な順路です。

「GPTsで足りるか?」の判断ツリー図。1タスク完結・社内限定の利用ならGPTsで十分、複数ステップ・外部システム横断・全社展開が必要なら専用プラットフォームでの自作や司令塔AI社員の検討へ、と分岐する

料金プランと無料でできる範囲

費用の線引きを整理します。無料プランでできるのは「GPTストアで公開されているGPTsを、回数制限つきで使う」ところまで。GPTsの作成はPlus以上の有料プランが対象です。執筆時点(2026年7月)のプラン構成は、Free/Go/Plus(月額20ドル前後)/Pro/Business/Enterpriseで、社内の複数人で自作GPTsを安全に共有したい場合は、ワークスペース単位で管理できる法人向けプランが候補になります。つまり試算はシンプルで、「作る人の座席数 × 有料プラン料金」が初期費用のすべてです。外注開発と比べて桁が違う手軽さである一方、プラン内容と料金は改定されるため、契約前に公式の料金ページでの確認を習慣にしてください。

GPTsのデメリット・できないこと

着手前に知っておくべき限界は4つです。第一に、複雑な業務フローの自律実行には向かないこと。カスタムGPTは1タスク完結型に強く、多段階の自律処理はエージェント系の仕組みの領分、という整理が複数の解説で一致しています。第二に、本格的なRAGとは別物であること。Knowledgeは「数ファイルの参照資料」であり、全社の文書を横断検索する社内ナレッジ基盤の代わりにはなりません。第三に、共有・公開に伴う情報管理の注意(前章のとおり、リンクを知っていれば誰でもアクセスできる設定がある)。第四に、ChatGPTというサービスの仕様・料金・UIが頻繁に変わることです。これらは「GPTsを使わない理由」ではなく、「GPTsに何を任せ、何を任せないかを決める材料」として捉えるのが実務的です。

▶ 関連記事: マルチAIエージェントとは?仕組み・メリット・限界を解説

GPTsで足りなくなったら — 次の一歩の選び方

GPTsの限界に触れたときの進路は2つあります。1つは、Dify等の汎用ノーコードプラットフォームで、ワークフローや外部連携を含むAIエージェントを自作する道。もう1つは、業務単位のアシスタントを増やすのではなく、複数のAI社員が役割分担して連携する「司令塔AI社員」型の設計へ進む道です。判断の目安は、困りごとが「この1業務をもっと高度にしたい」なら前者、「任せたい業務が増えてきて、個別のGPTsを作り続けるのが追いつかない」なら後者です。いずれにせよ、GPTsで小さく試した経験——どの業務が任せやすく、どんな指示と資料が要るか——は、次の段階でそのまま資産になります。

▶ 関連記事: AI社員とは?意味・違い・費用と中小企業の導入判断を解説

「うちの業務はGPTsで足りるのか、司令塔設計まで要るのか」の切り分けに迷ったら、AI社員組織を自社で運用するPolarisXにご相談ください。任せやすい業務の洗い出しから、無料相談としてご一緒します(contact@polarisx.ltd)。

着手チェックリスト

このまま使える着手前後のチェックリストです。上から順に埋まれば、最初の1体を公開できる状態になっています。

  • ChatGPT Plus以上を契約している(無料プランでは作成不可。料金は公式ページで確認済み)
  • 任せる業務を1文で書けた(「〜を、この形式で出力する」の粒度)
  • 参照資料を棚卸しした(最新版のみ・矛盾なし・Q&A形式に整形済み)
  • GPT Builderでたたき台を作り、ConfigureタブでInstructionsを「役割・制約・出力形式」の3点で書き直した
  • Knowledgeにはタスク直結の資料だけを登録した(社外秘の扱いを決めてから)
  • 公開範囲を決めた(社外秘を含むなら「自分のみ」か組織内共有)
  • 作成者以外の依頼文でテストし、誤答は「指示に1行足す→再テスト」で潰した
  • Actionsは、手作業の転記が明確になってから検討する(最初は連携なしで運用)
  • 「複数システム横断・多段階処理が必要」と分かったら、GPTsに固執せず次の一歩(自作プラットフォーム/司令塔設計)を検討する

よくある質問

Q. ChatGPTでAIエージェントは作れますか?GPTsとは何ですか? 作れます。最も手軽なのは、ChatGPTの標準機能「GPTs(カスタムGPT)」を使う方法です。GPTsとは、役割・指示(Instructions)・参照資料(Knowledge)を設定して、自社専用のアシスタントをノーコードで作る仕組みです。ただし作れるのは定型タスク向けのカスタムGPTであり、複数ステップを自律実行する本格的な自律型AIエージェントとは別物です。

Q. GPTs(カスタムGPT)とAIエージェントは何が違いますか? カスタムGPTは、下書き・要約・分類・整形といった1タスク完結型の仕事を、専用の指示と資料で高品質にこなすものです。AIエージェントは、目的を渡すと複数ステップの処理を自律的に判断・実行し、外部システムとも連携するものを指します。定型の1タスクならGPTs、複数システム横断の自動化ならエージェント系の仕組み、という住み分けです。

Q. ChatGPTでAIエージェント(GPTs)を作るには何が必要ですか?費用はいくらですか? 必要なのは、ChatGPT Plus以上の有料プランの契約、任せる業務の絞り込み、参照させる社内資料の3つです。費用は追加開発費ゼロで、有料プランの料金のみ(執筆時点でPlusは月額20ドル前後)。料金は改定されるため、契約前に公式の料金ページで最新を確認してください。

Q. 作ったGPTsは他の人と共有・公開できますか? できます。公開範囲は「自分のみ」「リンクを受け取った人」「GPTストアで一般公開」の3つから選べ、ストア公開にはビルダープロフィールの設定が必要です。法人向けプランならワークスペース内限定の共有もできます。リンク共有はURLを知っていれば誰でもアクセスできるため、社外秘の資料を含むGPTsは自分のみか組織内共有に留めてください。

Q. GPTsのデメリット・できないこと・注意点はありますか? 主な限界は、複数ステップの業務フローの自律実行に向かないこと、大量の社内文書を横断する本格的なRAG(社内ナレッジ検索)とは別物であることの2つです。注意点としては、共有設定次第で第三者がアクセスできること、公開したGPTの名前・説明文は利用者に見えること、指示や資料の設計が甘いと回答がぶれることが挙げられます。

Q. ChatGPTの無料プランでもGPTsは作れますか? 作れません。無料プランでできるのは、GPTストアで公開されているGPTsを回数制限つきで「使う」ところまでです。自分でGPTsを作成するにはPlus以上の有料プランが必要です。まず無料で他の人のGPTsを試し、自作したくなった時点でPlusを契約する、という順番で始められます。

GPTsの先——業務全体をAIに任せる設計を考え始めたら — PolarisXは、司令塔AI社員「Polaris AI」の開発と、自社AI社員組織(3部門・約20のAIエージェント)の運用を手がける当事者として、「GPTsで足りる業務」と「司令塔設計・社内ナレッジ接続が要る業務」の見極めからご一緒します。まずは無料相談として contact@polarisx.ltd へご連絡ください。サービスの考え方は polarisx.ltd をご覧いただけます。

この記事について

PolarisX編集部(AI活用の実務者チーム)は、司令塔AI社員「Polaris AI」の開発と、自社のAI社員組織(3部門・約20のAIエージェント)の運用実務に携わるメンバーで構成しています。AIエージェントへの指示文を日々書き・運用する立場から、本記事はGPTsの作成手順に、現場でつまずきやすいポイントと見極めの基準を加えてまとめました。内容のご指摘・ご相談は contact@polarisx.ltd へ。

参考文献

PX
PolarisX 編集部(AI活用の実務者チーム)
AI活用の実務者チーム

AIで会社の創造性を解放する。法人向けAIエージェントの開発、社内ナレッジベースの構築、AI導入・運用に関する実務知見を発信しています。

そろそろ、AI社員を採用しませんか。

法人向けAIエージェントの開発から社内ナレッジベースの構築、導入・運用まで、PolarisXが一気通貫で支援します。

PolarisX
そろそろ、AI社員を採用しませんか。

会社概要

会社名
PolarisX株式会社
代表者
折本 聖也(Seiya Orimoto)/ 代表取締役 CEO
設立日
2026年7月16日
資本金
1,000,000円
業種
情報通信業
事業内容
1. 法人向けAIエージェントの開発2. AIコンサルティングサービス
本店所在地
東京都渋谷区道玄坂1丁目10番8号 渋谷道玄坂東急ビル2F−C
お問い合わせ
contact@polarisx.ltd